飼っている猫の目に、茶色や黒色のシミみたいなものはありませんか?
ある日気づくと、わが家の猫にも、人の目でいう白目の部分(猫にとっては虹彩の部分)に「茶色いシミ」が広がっていました。
年単位で少しずつ大きくなっていたので、かかりつけの動物病院で検査をしてもらったところ、残念ながら「虹彩メラノーシス」という病気であることが判明しました。
茶色のシミがすべて病気というわけではないのですが、病気の場合は、重篤な症状に移行する可能性があります。
猫の目に茶色や黒色のシミが出たら、すぐに動物病院を受診した方がいい理由と、虹彩メラノーシス・虹彩メラノーマという病気について、飼い猫の実体験をもとにまとめています。
猫の目にある茶色や黒色のシミは病気の可能性あり
飼い猫の目に、薄茶色のシミが広がっていることに気づいたのは、3歳のころです。
生後3か月で保護施設から引き取ってきてから2歳までは、シミはありませんでした。
最初にシミに気づいたとき、不思議には思ったのですが、人でも白目の部分にほくろがある人もいるので、深くは気にしてなかったです。
※実際のところ、猫の目にシミが出る部分は人でいう白目ではなく、虹彩(こうさい)です(人だと瞳孔の外側の黒い部分)
予防接種以外で病院のお世話にならない健康な猫なので、動物病院に行くのは年に1回。
しかも病院嫌いで、診察台の上でもじっとしていないため、獣医師に顔をチェックされても、目のシミには気づいてもらえませんでした。
5歳の予防接種のとき、シミが濃くなってきていることが気にかかり、獣医師に訊いてよく診てもらったところ、なるべく早めに目に詳しい獣医師に検査をしてもらった方がいいと言われました。
かかりつけの動物病院内に、犬猫の目を専門とする獣医師がいたので、改めて検査をしてもらったところ、うちの猫の右目は「虹彩(こうさい)メラノーシス」であると告げられました。
虹彩メラノーシスの検査
1. 猫の目を獣医師がよく確認する
2. 診察室を暗くし、猫の目を、光が出る顕微鏡のようなもの(カメラ)で念入りに検査
3. 眼圧を測る(猫の正常値は~20)
【眼圧を測る理由】
眼球の中には、眼房水(がんぼうすい)という水分があります。
通常、眼房水は、眼球の中にある毛様体のあたりから排出されます。
しかし、シミが大きく広がってくると、排出する部分をふさいでしまうことがあるとのこと。
水分が排出されなくなり眼圧が高くなる=メラノーシスが大きくなっている
として、病状の進行度を把握するために、眼圧を測定するのです。
わが家の猫の目のシミは、「虹彩メラノーシス」と診断されましたが、残念なことに治療法はありません。
もし目のシミに気づいた3歳のときに診察してもらっていたとしても、今の状況と変わらなかったのでしょう。
そして、虹彩メラノーシスは、時間の経過とともに「虹彩メラノーマ」に変化していくことがあります。
虹彩メラノーマは悪性腫瘍(がん)なので、非常に緊急性が高い病気になります。
そのため、虹彩メラノーシスから虹彩メラノーマに変化したことに、どれだけ早く気づくかが重要です。
虹彩メラノーシスになってしまったら
・定期的な検査(数か月おき・場合によっては1か月おき)
・飼い主の毎日の観察(シミが濃くなっていると感じたらすぐ受診)
虹彩メラノーシスと虹彩メラノーマ
虹彩メラノーシス
治療方法はありません。
そのぶん、経過観察が非常に大切になってきます。
数か月おきの定期検査は、必ず受けましょう。
獣医師の判断により、1か月おきなど、短い間隔で定期検査になることもあります。
虹彩メラノーシスから虹彩メラノーマに変化する時間は、猫によって違うそうです。
数年間、まったく変化がなくても、あるとき急激にシミが増えたり濃くなったりして、虹彩メラノーマになることも。
定期検査の合間であっても、自宅で毎日、猫の目の観察は欠かさないようにしましょう。
虹彩メラノーマ(悪性腫瘍)
虹彩メラノーシスの状態から、眼圧が高くなったり、シミが増えたり濃くなったら、虹彩メラノーマの初期に入ったと診断されます。
ただし、眼圧が高くならない猫もいるため、目の専門である獣医師でも、判断は非常に難しいそうです。
基本的には、今までよりシミが増える・黒くなって盛り上がるといった症状が出てきたら、虹彩メラノーマの初期と判断するとのこと。
この時点で飼い主が判断するのは、手術をするかどうかです。
手術は、シミだけを取り除くのは不可能なため、眼球摘出となります。
獣医師との信頼関係や、飼い主の決断が必要となります。
虹彩メラノーマがさらに進行すると、中期の代表的な症状である「緑内障」にかかります。
緑内障は視野が狭くなり、放置すると失明に至る目の病気です。
しかし、この時点で心配すべきは失明よりも、目から体への悪性腫瘍(がん)の転移です。
獣医師の経験上、緑内障になった時点で、かなりの確率で体への転移が認められるとのこと。
そのため、猫の命を最優先するならば、虹彩メラノーマの初期で、眼球摘出の判断をすることが、飼い主には求められます。
猫の目をよくみて状況を把握しよう
非常に怖い病気である虹彩メラノーマと虹彩メラノーシスですが、事例として、虹彩メラノーシスのまま健康な状態で、寿命を先に迎える猫もいます。
飼い主としては、家族の一員である猫の病気ということもあり、心配は尽きません。
病気になって一番つらいのは、治療を受けることになる猫だと分かっていても、飼い主としても本当につらいですよね。
だから、一度はつらさを心底感じて、泣いてもいいと思います。
私も泣いたし、夫も子ども達も悲しみました。
でも泣くだけ泣いたら、飼い主として、しっかり立ち直りましょう。
猫は自分が病気あることが分かりません。
獣医師にも「心配の気持ちばかりを猫に向けず、今まで通り、たくさん可愛がってあげてください」と言われました。
猫は人の気持ちに敏感なので、心配ばかりしていると、猫も不安になってストレスになります。
毎日の猫の目のチェックは欠かさずに、気持ちを切り替えて、猫と過ごす日々を楽しくしていきましょう。
わが家の猫の経過観察について
2019年6月に検査で診断されてから、そのあとは3か月間隔で2回検査をしてもらいました。
3回目の検査でシミの大きさにほとんど変化がなかったので、半年に1回の検査になりました。
2021年と2022年は、1年に1回の検査となっていて、今のところシミが広がる兆候はありません。
自宅で毎日のスキンシップついでに、シミの大きさを確認しています。
猫の目の病気についてまとめ
正直なところ、こうして自分の猫の病気について、経過観察も含めて記事にするのはとてもつらかったです。
獣医から初めて虹彩メラノーシスであると聴いたときも、ただのシミだろうと勝手に考えていただけにショックが強くて……
ただ、飼い主が不安になりすぎるのもよくないと考え直し、ネットでの情報収集は最低限にして、目の前の猫ときちんと向き合うようにしています。
わが家と同じように、可愛がっている猫さんが虹彩の病気になったとしても、信頼できる獣医師の指導のもと、前向きに進んでいきましょう。
うちの子は、たまたま虹彩の病気になってしまいましたが、悲観していても仕方ありません。
2014年に猫さん達を保護施設から引き取るとき、「絶対にこの子たちの生涯を幸せにする」と、私は覚悟を決めていました。
未来はなにが起こるか分からない、だからこそ改めて前を見て、猫と共に歩んでいこうと決意し直しました。
虹彩メラノーシスのまま、何事もなく、寿命をまっとうする子もいると獣医に聞いています。
わが子もそうであるように願いつつ、人よりも7倍のスピードで進むという猫との時間を、これからも大切に過ごしていきます。