お正月の食卓に上がるものといえば、おせちやお雑煮が定番ですが、お屠蘇(おとそ)も日本ならではの風習です。
しかし、おせちなどに比べると、お屠蘇について詳しいことはあまり知られていません。
お屠蘇をお正月に用意する意味や、お屠蘇セット(屠蘇器)の紹介、お屠蘇の正式な飲み方をまとめました。
お屠蘇を正月に飲む意味とは
お屠蘇の由来には、諸説あります。
・中国の「屠蘇(とそ)」という人が、年末に風邪予防薬として漢方を配り新年に飲ませたから
・「蘇という悪鬼を屠(ほふ)る」という意味がある
・「悪鬼を屠(ほふ)って人の魂をよみがえらせる」という意味がある
※屠る(ほふる)=体を切り裂く・敵を打ち負かす
お屠蘇は、「屠蘇散(とそさん)」と呼ばれる10種類程度の生薬を配合した漢方薬を漬け込んだ薬酒のこと。
この薬酒であるお屠蘇をお正月に飲むことで、この1年は家族が健康に過ごせるよう、また邪気を払って不老長寿を祈るという意味合いを持っています。
お屠蘇はいつ日本に伝わったの?
お屠蘇は漢方のため、風邪の予防や整腸作用・体を温める効果があり、昔はお正月以外でも飲んでいました。
お屠蘇は、中国から平安時代の日本に入ってきたとされ、江戸時代に庶民にまで広まったと言われています。
お屠蘇セットは必要?あればお正月らしさアップ!
わが家は数年前に、お屠蘇セット(屠蘇器)を、楽天市場にて3,000円ほどで購入しました。
屠蘇器は、朱塗りのお銚子と三段重ねの盃の組み合わせになります。
お屠蘇には漢方と同じような成分が入っているので、匂いが強いのが特徴です。
陶器の器を使うと、器にお屠蘇の匂いが移ってしまうことがあるので、お屠蘇専用の器を使うのがおすすめ。
屠蘇器を使わないなら、匂い移りをしないガラスの器がいいですね。
お屠蘇の正式な飲み方が知りたい
お屠蘇セットを手に入れたら、飲み方も知っておきましょう。
お屠蘇に正式な飲み方はあるの?
実は、お屠蘇の正式な飲み方はありません。
中国からお屠蘇が伝わってきた際、飲み方までは伝わってきませんでした。
日本でお屠蘇を飲むときの作法は、地域や家庭によって大きく違っています。
次章では一般的な作法を紹介しますが、たくさんあるルールのうちの一つとして参考にしてくださいね。
お屠蘇の飲み方(作法)
・市販の屠蘇散/お屠蘇の素
(画像参照/スーパーで100円前後で販売)
ティーバッグになっている
・日本酒
・本みりん
各材料の分量は、購入した屠蘇散により違ってくるので、屠蘇散に付属してある説明を参照するのがおすすめ。
本みりんがなければ、家にある料理用みりんでも代用できますが、料理用みりんは塩が添加されていることが多いので、できれば本みりんが好ましいです。
みりんを多くすればするほど、まろやかな甘口のお屠蘇になります。
・12月31日大晦日の夜に、みりんを合わせた日本酒に、市販の屠蘇散(とそさん)を浸しておく
屠蘇散によって抽出時間が変わってくるので、屠蘇散付属の説明を参照すること。
飲む前の8時間ほど浸しておくのが基本ですが、浸す時間が長すぎると、お屠蘇が濁ったり味が落ちるので気をつけましょう。
※おせちやお雑煮を食べる前にいただきます
1. 屠蘇散を取り出す
2. 三つ重ねの杯の上から、小杯にお屠蘇を注いだら飲む※
3. 中杯にお屠蘇を注いだら飲む※
4. 大杯にお屠蘇を注いだら飲む※
※お屠蘇は、年長者が年少者の杯に注ぎ、年少者から飲む(1人が小杯・中杯・大杯と3回飲むことになる)
5. 使った盃を再度三つ重ね、2.~4.を、人数分繰り返す
※4人家族の場合、飲む順番は、一番年齢が低い子供→次の子供→妻→夫(家長)とすることが多い
お屠蘇の略式について
1人で杯(さかずき)を3杯分(小杯・中杯・大杯)飲むことになるお屠蘇ですが、略式での飲み方もあります。
1つの杯に対し、3回に分けてお屠蘇を注ぎ、3回に分けて(口をつけて)飲み干すのが略式となります。
また家族でお屠蘇をいただく場合は、大杯を家長(夫)・中杯を妻・小杯を子供で使うこともあります。
その際、子供はお酒を飲めないので、杯を傾けるだけ、または形式的に口を付けるだけで大丈夫です。
お屠蘇を飲む順番について
紹介した作法では、年少者が最初に飲むとしていますが、年長者(家長)が最初に飲むとする場合もあります。
・年少者が最初に飲む……漢方医が患者の健康を気遣ってお屠蘇を配ったことにちなみ、年長者が家族や年少者の無病息災を祈って分ける・年長者の英知を年少者に分け与える・年少者が毒味をする
・年長者が最初に飲む……年少者が年長者の杯にお屠蘇を注ぐことで、年少者の若さにあやかる
・厄年の人が最後に飲む……厄年以外の人に厄を祓う力を分けてもらう
どれが良い・悪いという明確な決まりはないので、各家庭でルールを決めてくださいね。
お屠蘇についてまとめ
お屠蘇の飲み方については、飲む方角が決まっているなどの難しい作法も出回っていますが、実際に厳しいルールは特に決められていません。
以前はわが家でもお屠蘇を飲む前に、お屠蘇の作法をネット検索していました。
でも今は堅苦しく考えずに、日本の文化を子供に伝えることを一番に心がけるようにして、お正月の風習を楽しんでます。