大きな地震に伴い、海では津波が起きることがあります。
津波が起きるメカニズムには色々なものがあり、断層のずれだったり、震源の深さによって津波の様子は大きく変わります。
地震が起きたからといって津波は必ず起こるものではありません。
津波の危険が予測される場合、気象庁より地震後すぐに津波注意報あるいは津波警報が出されます。
しかし、わが家の小学生の子供達は、津波の高さ予測をニュースで見て「30センチの津波なんて普通の波と一緒なのに、なんで危険なの?」と言い、危機感を感じていない様子でした。
そのため、津波の危険度について子供にもしっかり伝えていかなければと思い、津波についての情報をまとめました。
津波警報が出る基準は?
津波警報や津波注意報が出る基準をまとめました。
津波の発表状況を確認する
気象庁:大津波警報・津波警報・津波注意報
気象庁の公式ページにて、現在発表されている津波に関する情報がまとめられています
テレビやラジオでも繰り返し津波情報が伝えられますが、停電時は携帯電話やスマートフォンで、津波情報を確認できるサイトやアプリも活用してください。
【スマホアプリの一例】
・Yahoo!天気
・Yahoo!防災速報
地震が起きる前にアプリのインストールと、使い方を確認しておきましょう。
津波警報・注意報の種類
津波に関する発表は、警報が2種類・注意報が1種類あります。
予想される津波の高さが高いところで3メートルを超える
・「巨大」と表現される
・大津波警報はさらに3段階に分けられる
10m超(10メートル超)
10m(5メートル超~10メートル)
5m(3メートル超~5メートル)
予想される津波の高さが高いところで1メートルを超え、3メートル以下
・「高い」と表現される
・数値では「3m」と表現される
予想される津波の高さが高いところで0.2メートル以上、1メートル以下
・津波による災害が予想される場合
・数値では「1m」と表現される
津波警報・注意報が出た場合にとるべき行動
「大津波警報」・「津波警報」が出たら
高台や避難ビルなど安全な場所へ、すぐに避難する。
「ここなら安心」と思わず、できるだけ高いところを目指して避難する。
「津波注意報」が出たら
海に入っていたらすぐに出て、海岸から離れること。
高台や避難ビルの場所を確認し、いつでも移動できるように準備しておく。
海の近くには、津波の際に逃げ込むことのできる避難場所や避難ビルが設定されていることが多く、以下のような標識(マーク)が掲示されています。
海に行くときや近くを通ったときに、確認しておくことをおすすめします。
津波が沿岸に到達するまでの時間
地震の震源の深さや断層の動き方により、同じ地域で起きた地震だとしても、毎地震ごとに津波が沿岸に到着するまでの時間は大幅に変わります。
早ければ地震が治まってから3分後に津波が沿岸に到達する可能性もあり、この場合は津波警報が間に合わないため、非常に強い揺れや弱くても長い揺れがあったら、すぐに避難を開始してください。
地震が治まってから10分後に津波が到達することもあれば、震源から遠い地域では1時間後に到達することもあります。
テレビ・ラジオ・スマホのニュースでは津波到達予想時刻も発表されるので、避難準備をしながらチェックしてください。
また、津波は一度きたら終わりではなく、1波・2波・3波……と何度も繰り返し押し寄せます。
津波は一度目にくる1波よりも、2波目以降が特に危険です。
1波目は震源からストレートに波が伝わってきますが、2波目以降は押し寄せる波と引き波がぶつかって複雑な流れを引き起こし、また防潮堤や港にぶつかり合った波が集中し、沿岸の地形によっては1波目や津波の高さ予想よりも高い津波が押し寄せることがあります。
津波注意報が、数分から数時間ののちに津波警報に引き上げられることもあります。
こうしたことからも、津波警報や注意報が解除されるまで、津波への警戒は続けてください。
津波は海だけでなく川でも要注意
海で起こった津波は、海からつながっている川を逆流していきます。
広い海から狭い幅の河川へと流れ込んだ津波は、勢いを増して大量の海水が川上へと遡って(さかのぼって)いきます。
河川沿岸の低い土地では川があふれて浸水することもあり、河川に近い住宅では、川からの津波に注意をしなければいけません。
海よりも川の方が津波の到達時間は遅くなるので、海に近い川沿いに住んでいる場合は、津波情報にはよく気をつけて早めの避難行動をとってください。
河川においても、警報や注意報が解除されるまでは、近づかないことを徹底しましょう。
津波の威力に対して建物はどのくらいまで耐えられるの?
津波の威力について、どのくらいあるのかをまとめました。
津波の高さによる危険度の違い
30センチ……大人でも何かにつかまってやっと立っていられるくらいで、避難行動が難しくなる
50センチ……大人でも流され、車が浮かび出す
1メートル……車が流される
2メートル……木造家屋の半数が全壊
3メートル……木造家屋のほぼすべてが全壊
5メートル……2階建ての建物が水没する
鉄筋の建物はある程度の強度があり、倒壊する危険性は低いですが、津波が高い場合は水没する危険があります。
大人だと津波30センチは膝下くらいの高さになりますが、それだけ浸水すると足を取られてまともに歩けなくなります。
小学校低学年の子供だと、30センチの津波でも流されてしまう危険性が高まります。
津波はなぜ予想高さが低くても怖いのか
津波のイメージ
津波は普通の波のように、一度押し寄せたら終わりではありません。
イメージとして、津波は水の塊(かたまり)・水の壁と考えると分かりやすいです。
一過性の波ではなく、海面が一気に数十センチ~数メートルも上昇したまま、ずっと押し寄せてきます。
水深30センチの流れの早い川の中に立ったことがあればイメージしやすいと思いますが、立っているだけでも大変で、ましてやその流れに逆らって歩くのは、大人でもかなり難しいです。
背が小さく大人より力の弱い子供なら、立つことすら無理になります。
「津波の予想高さは30センチだから大したことがない」とは、決して思わないようにしましょう。
津波警報が出たら必ず避難することがなにより大事
人は実際に危機を体験しないと(場合によっては危機的状況にあっても)、「自分だけは大丈夫」と思ってしまうそうです。
「危機感を持とう」といくら他人に言われても、実体験を伴わない危険は想像が難しいですよね。
また津波注意報や警報は、海が震源地になるとほぼ毎回発表されることもあり、「どうせまた注意報が出ただけで、実際に津波はこないんでしょ」「予想高さ30センチ?大したことないな」と思ってしまいがち。
特に地震の多い地域では、「いつものこと」として、つい警戒心が緩んでしまうのも仕方ないのかもしれません。
また、津波注意報や警報が出て避難しても、実際に津波がこなければ、なんとなく損した気分になることも。
自分は避難はしたけど、津波注意報や警報が出ても避難しなかった人が「わざわざ避難するなんて大げさだ」と言ってくるかもしれません。
人はつい先々のことを考えてしまい、自分が損をしたりおおげさだと思われたくない、と考えてしまうものです。
でもそんなプライドのせいで、本当なら失わなくて済んだ命を失うことにつながってしまったら?
悔やんでも悔やみきれません。
避難がもし空振りに終わっても、誰かに嫌味を言われたとしても、「損をすることなど一つもない」と心得ておきましょう。
2. 津波の危険性
東日本大震災の被害実態などをもとに、内閣府が分析した浸水深に応じた死者率では津波に巻き込まれた場合、津波浸水深0.3m以上で死亡者が発生、津波浸水深1mでは死者率100%に達します。
また、家屋被害については、建築方法等によって異なりますが、木造家屋では浸水1m程度から部分破壊を起こし始め、2mで全面破壊に至り、浸水が50cm程度であっても船舶や木材などの漂流物の直撃によって被害が出る場合があるとされています。
30センチの津波でも死亡者が発生し、1メートルの津波では死者率100パーセントとなるという、被害実態から導き出した研究結果があります。
この分析結果を見るだけでも、津波警報や注意報を無視するのが、どれだけ危険なことか、分かってもらえるのではないでしょうか。
わが家は関東に住んでいますが、2011年の東北大震災以降、子供達が通う小学校では、海の近くへ遠足に行くときに、事前にプリントで地震発生の際に津波を想定して避難する場所が告知されるようになりました。
子供達が川で活動する学校行事でも、万が一の地震と津波に備え、先生だけでなくボランティアの補助員や保護者が協力し、大人の人数を増やすようにしています。
自然が起こす災害は、人が想定する以上の被害をもたらすことが多々あります。
普段は海の近くに住んでいなくても、旅行などで海の近くで地震に遭うことも十分考えられます。
どんな時でも自分の命はもちろん、大切な人の命を守れるように、普段から津波に対する知識を得て、情報収集をしておきましょう。
津波警報についてまとめ
津波についてまとめましたが、1メートルの高さの津波で死亡率が100パーセントに達することを、今回初めて知りました。
もし家族で海水浴中に地震が起きたら? 友達と旅行中に海の近くの宿に泊まっていて地震が起きたら?
津波の怖さを知らない子供に、きちんと津波の危険を説明することも大事ですね。
日本には、美しい海の風景が観られる場所がたくさんあります。
むやみに海を怖がる必要はありませんが、大きな地震が起きたらまず津波にも注意を払い、適切な対応ができるようにしておきましょう。