お正月が終わるころ、日本各地でどんど焼きが行われます。
「どんど焼き」は地域によって呼び方が変わり、「左義長(さぎちょう)」や「とんど焼き」と呼ばれることもありますが、内容はほぼ同じ。
どんど焼きとはどういった行事なのか、その意味や起源、よく行われる日程や、燃やしてもいいもの、どんど焼きに参加して行うと縁起のいいことをまとめました。
どんど焼きとは?意味や起源を知りたい
どんど焼きの意味や由来、地方による呼び方の違いをまとめました。
どんど焼きの意味
・お焚き上げ(正月飾りやお守りなどを集めて燃やすこと)をする
・無病息災や五穀豊穣を祈る
正月飾り(松飾りやしめ縄など)や書き初め、昨年使ったお守りや破魔矢などを、竹などで組んだやぐらに集め、積み上げて燃やす火祭り行事です。
また、お正月に門松などで各家庭に出迎えた年神様を、浄化の炎と共に、空へ見送るという意味もあります。
そうすることで、新しい年の無病息災・五穀豊穣・家内安全を祈願します。
正月に、日の出とともに家にやってくる神様のことを「年神様」と呼びます。
まず、自宅の玄関にある門松に年神様がやってきて、そのあと、家の中にある鏡餅に年神様の魂が宿ります。
年神様は、1年間、その家に幸せをもたらすためにやってきてくれる神様です。
どんど焼きの由来
どんど焼きの由来や起源はいくつかあり、代表的なものを2つ紹介します。
左義長とは、正月十五日に、宮中にある清涼殿(せいりょうでん)の庭で、毬杖(ぎっちょう)※と呼ばれる木製の杖を3本結び、その上に扇子や短冊を置いて、陰陽師(おんみょうじ)が歌いながら、これらを焼いた行事です。
この行事には旧年中の穢れ(けがれ)をはらい、春の到来を喜び、五穀豊穣を祈る意味がありました。
※毬杖とは……木製の杖を振るって、木製の毬を相手陣に打ち込む遊びに使う杖のこと
昔は1月15日の小正月に、田畑を鳥の被害から守られるようにと祈願する、鳥追い行事が行われていました。
この鳥追い行事では、稲やわら・今年使ったしめ縄などで立てられた小屋を燃やすため、これがどんど焼きの由来になったと言われています。
どんど焼きの呼び方は地域によって違う
・左義長(さぎちょう・さぎっちょ)
・どんどん焼き
・とんど焼き
・さいと焼き
・どんだら焼き
・三九郎(さんくろう)焼き
・おんべ焼き
・ほじょり
・ほうじょり
・ほちょじ
・ほっけんぎょう
・どんどろ祭り
ここに挙げたもの以外にもまだあり、「正月飾りを集めて燃やす」という全国的に同じ行事でも、それぞれの地域で、さまざまな名称がついていることがうかがえます。
「どんど焼き」や「どんどん焼き」の語源についても、
・燃やしている青竹が弾ける音である「どんどん」という音からついた
・燃え盛る炎の神秘さから「尊(とうと)や」と人がはやし立てたから
・どんどんと燃える様子からついた
など、諸説あります。
自分の地域のどんど焼きの呼び方や由来を、ぜひ確認してみてくださいね。
どんど焼きはいつ行われる?燃やしていいものは?
どんど焼きが行われる具体的な日にちや、燃やしていいものを説明します。
どんど焼きが行われる日にち
以前は1月15日が成人の日で祝日だったので、どんど焼きも15日に行われていました。
しかし成人の日が、1月第2月曜に制定されてからは、15日前後の土日に行われることが多くなりました。
どんど焼きで焼いていいもの
・昨年のお守り・破魔矢・お札
(今年のものは来年のどんど焼きに出す)
・書き初め
・祈願成就しただるま
※燃やせるものについては、地域の都合や、どんど焼きを行う主催者の考え方により違いがあるので要確認
正月飾りの処分には、どんど焼きがおすすめです。
また初詣のときに、寺社に納め忘れてしまった昨年のお守りや、破魔矢・お札なども、どんど焼きに出すことができます。
だるまに関しては、燃やせないところもあるので気をつけてください。
特に人形類は受け付けていないところが多いので、正月飾りやお守り以外のものに関しては、必ず主催者に確認をするようにしてくださいね。
正月飾りは、プラスチックや金具を取り外すように決められている場合もあるので、指示に従いましょう。
どんど焼きですると縁起のいいこと
どんど焼きでは、迫力のある大きな斎灯(さいと=神仏の前で焚くかがり火のこと)を間近で見ることができます。
火は穢れを浄化し、竹が爆ぜる音は厄災を退けてくれると言われています。
・どんど焼きで焼いた餅や団子を食べると、1年間病気にかからなくなる
・どんど焼きで燃やした書き初めの紙が、空高く舞い上がると字が上手くなり、学業も良くなる
・どんど焼きの灰を持ち帰り、家の周りにまくことで魔除け・厄除けになる
どんど焼きは、お正月飾りを処分するためだけに行われるのではなく、浄化された炎によって、色々なご利益が私たちにもたらされる行事。
どんど焼きを主催する団体によっては、その場で書き初めや願い事を書いた紙を燃やすことができたり、お餅や団子があらかじめ用意されていて焼いたものを来た人に配布するなど、色々なイベントを準備していることもあります。
どんど焼きについてまとめ
地域によって、どんど焼きが行われる場所はさまざま。
自治体が中心になって行われるどんど焼きになると規模が大きく、迫力のある炎を間近で見ることができます。
ただし最近は、物を燃やすことによる煙や匂いなどが近所迷惑になるということで、どんど焼きを行わなくなっているところも。
環境の変化に対応するために仕方のないことですが、どんど焼きは日本に昔から伝わる正月文化の一つなので、これからも続いていくといいですね。